トップ 検索 管理用
君は誰と幸せなあくびをしますか


  「僕の彼女はウェイトレス」
わったん
Date: 2004-02-10 (Tue) 
waitress1.jpg (29699 バイト)
 とびきりの声が電話という不思議な機械から聞こえてくる。
僕がこんな夜遅くまで働いて疲れているのがすぅ〜っと
本当に音が聞こえてくるぐらいに消えてゆく。
 それは誰でもない僕の彼女の声だ。留守番電話のメッセージなのに
いつも本当に聞いているように話してくれていた。
 僕はマンションの鍵をいつものシルバーの灰皿に置いた。これは
吸えないのに友人から海外旅行のおみやげでもらったんだ。
本領は発揮していないけれど、ちゃんと役に立っていた。
「終了しました。」という電子音に変わるまで電話を見つめて、
気がつくと僕は顔がゆるんで笑顔になっていた。
 僕は君が困ってしまうほど大好きだ。この声を聞かなかったら
どれだけ眉間のシワが増えたことか。聞き終えた後、
やっと部屋の明かりをつける。

 彼女はウェイトレスをしていた。「いつもドジをふんでいるけど、
憎めない性格」と彼女のバイト仲間の女の子が電話越しに笑って教えて
くれた。この留守電の内容だって、バイト先の店内で二人で聞いた曲が
かかって上の空だったという。店長は先に帰っていたけれど、
年上の怖いバイトの人に怒られたそうだ。でもそれを笑いながら
かかった曲の方をとても大切そうに言ってくれた。
そんな性格もすぐにめげてしまいそうになる僕にとってかけがえのない
存在だ。
 さっきから降りだした雨だって、君が憂鬱な顔になりそうだったら、
僕は君と一緒に躍ろう。「雨乞いの儀式だ。」とか何とか言って、
ふざけて君の心を晴れにするよ。 僕は夕食の用意をしながら
足が躍っていた。そして次の日曜のことを考えた。
 次の日曜は久し振りに外食じゃない。とびっきりの材料を市場で
買って、二人で作るんだ。君が初めて僕の家に来た時、二人共緊張して、
いたけれど、言葉が詰まっていきなり「何か作ろう!」と言った僕に
大笑いしたっけ。ウェイトレス風にテーブルに差し出した僕の
スパゲティーと、君のパエリアをとてもおいしそうに二人で食べた事を
ずっと忘れないよ。
 そしてあの君へのKISSも。初めて朝まで君の靴が玄関にあった日も。
笑っちゃうくらい、泣いちゃうくらい好きな事も。
 もう。全て。偶然じゃない。

[前頁]  [次頁]


- Column HTML -